休職中で給与が出ていない月でも、会社から「社会保険料を振り込んでください」と連絡が来ることがあります。
給与明細がマイナスになっていたり、傷病手当金の入金前に支払期限だけ来たりすると、何を優先して見ればいいのか分かりにくくなります。
この記事では、休職中の社会保険料が払えない時に、請求額・内訳・支払期限・傷病手当金・退職時精算をどう分けて見るかを整理します。
この記事では、休職中に会社から社会保険料を請求された時に見るべき数字と文面を扱います。
- 休職中でも社会保険料が発生する理由が分かる
- 会社から請求された金額を、対象月・内訳・期限に分けて見られる
- 一括で払えない時の分割相談メールの形が分かる
休職中でも社会保険料は発生する
病気やけが、メンタル不調などで休職している間でも、会社に在籍して社会保険の資格が続いている場合は、社会保険料が発生するのが原則です。
ここでいう社会保険料は、主に健康保険料と厚生年金保険料です。
40歳以上で介護保険の対象になる場合は、介護保険料も関係します。
給料が出ていない月に会社から請求が来ると、かなり理不尽に見えます。
ただ、制度上は「給与が出たかどうか」だけではなく、「社会保険の資格が続いているか」で保険料が残ることがあります。
病気休職では免除されないケースが多い
私傷病による休職では、給与が止まっていても、社会保険料が自動で免除されるとは限りません。
休職中も健康保険証を使える状態が続き、厚生年金の被保険者資格も続いているなら、その期間の本人負担分が残ります。
会社があなたに請求しているのは、多くの場合、会社が立て替えたり、給与天引きできなかったりした本人負担分です。
もちろん、会社の請求額が常に正しいとは限りません。
発生するかどうかと、請求額が正しいかどうかは分けて見た方がいいです。
産休や育休の免除とは別に考える
社会保険料には、産前産後休業や育児休業などで免除される制度があります。
この話を見たことがあると、「休職なら保険料は免除されるのでは」と考えやすくなります。
ただし、病気やけがによる休職は、産休や育休の保険料免除とは別に扱われます。
会社の就業規則や加入している健康保険組合の運用によって案内のされ方は変わりますが、病気休職だから当然に保険料が消える、とは考えない方が安全です。
払えない時に放置しない理由
払えない時にいちばん避けたいのは、会社からの請求メールを見ないままにすることです。
社会保険料そのものが消えるわけではなく、未払い分として会社側に残る可能性があります。
復職後の給与からまとめて控除されることもあれば、退職時の最終給与や退職金と精算されることもあります。
だから、ここで見るべきなのは「払えるか、払えないか」だけではありません。
対象月、内訳、支払期限、支払い方を分けることが先です。
給料なしでも請求される理由
休職中の社会保険料で引っかかりやすいのは、「給料がないのに、なぜ保険料だけあるのか」という部分です。
給料がゼロなら保険料もゼロになりそうに見えますが、社会保険料はその月の手取り額だけで決まるものではありません。
保険料は標準報酬月額で決まる
健康保険料や厚生年金保険料は、原則として標準報酬月額をもとに計算されます。
標準報酬月額とは、毎月の給与を一定の幅で区分したものです。
ざっくり言えば、会社員としての社会保険料を計算するための基準額です。
そのため、休職してその月の給与がゼロになっても、すぐに社会保険料がゼロになるわけではありません。
特に、休職前の給与をもとに決まっていた標準報酬月額が残っていると、収入は止まっているのに保険料だけ発生する状態になります。
休職前の給与が基準になることがある
社会保険料は、毎月の実際の手取りにそのまま連動して増減するものではありません。
休職前に一定の給与を受けていた場合、その時点の標準報酬月額をもとに保険料が残ることがあります。
4月から6月に病気欠勤などで報酬を受けない場合の扱いなど、標準報酬月額の決め方には細かいルールがあります。
ただ、この記事で押さえておきたいのは、制度の名称そのものではありません。
休職中に会社から請求が来る背景には、休職前の給与をもとに決まった保険料が残っている場合があるということです。
給与明細がマイナスになるケース
休職中でも会社から給与明細が出ることがあります。
そこに社会保険料や住民税だけが載り、支給額より控除額が大きくなると、差引支給額がマイナスのように見えることがあります。
たとえば、給与の支給が0円で、健康保険料、厚生年金保険料、住民税が控除として残っている場合です。
この時に「会社にお金を取られている」とだけ見ると、話が止まります。
見るべきなのは、どの項目が何月分として載っているかです。
会社から請求されるお金の内訳
会社から「社会保険料を払ってください」と言われても、その金額の中身が一つとは限りません。
健康保険料と厚生年金保険料だけでなく、介護保険料や住民税が一緒に案内されていることもあります。
ここを分けずに見ると、払えない金額がただ大きな塊に見えてしまいます。
健康保険料と厚生年金保険料
会社員の社会保険料として中心になるのは、健康保険料と厚生年金保険料です。
これらは、原則として会社と本人が負担します。
普段は給与から本人負担分が天引きされ、会社が会社負担分と合わせて納付します。
ところが、休職で給与が出ないと、天引きする給与がありません。
そのため、会社が本人負担分を別途請求する形になることがあります。
会社からの請求が来た時は、まずこの2つが何月分として載っているかを見ます。
介護保険料や住民税が混ざる場合
40歳以上の場合、健康保険料に介護保険料が関係することがあります。
また、会社から届いた案内に住民税が一緒に書かれていることもあります。
住民税は社会保険料ではありません。
ただ、給与から天引きされていた人は、休職や退職をきっかけに、会社経由の徴収から本人納付へ変わることがあります。
会社のメールに「社会保険料等」と書かれている時は、この「等」に何が含まれているかを見た方がいいです。
社会保険料と住民税を分けて見る
社会保険料と住民税は、支払い先も制度も違います。
社会保険料は、健康保険や厚生年金の本人負担分として会社から請求されることがあります。
住民税は、会社が給与から天引きしていたものが残っている場合や、自治体から納付書が届く場合があります。
この2つを混ぜたまま会社に「社会保険料が高すぎます」と返すと、話がかみ合いません。
会社に聞く時は、「社会保険料」と「住民税」を分けた内訳を出してもらうのが現実的です。
払えない時に先に確認すること
払えない時ほど、すぐに「払えません」とだけ返さない方がいいです。
その言葉だけでは、会社側も支払い時期をずらせばいいのか、金額の内訳に疑問があるのか、退職時に精算したいのかが分かりません。
先に見るのは、金額の大きさそのものではなく、金額の中身です。
対象月と金額の内訳
最初に見るのは、何月分の請求なのかです。
休職が長くなると、1か月分ではなく、複数月分がまとまって請求されることがあります。
その場合、請求額だけを見るとかなり大きく見えます。
しかし、対象月を分けると、1か月あたりの本人負担分が見えてきます。
会社に聞くなら、次のように分けてもらうと読みやすくなります。
- 対象月
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 介護保険料の有無
- 住民税が含まれているか
- すでに会社が立て替えている金額
この段階では、会社を疑うためではなく、自分が支払える形に落とすために数字を分けます。
支払期限と精算方法
次に見るのは、支払期限です。
会社のメールに「〇日までに振込」と書かれている場合でも、それが会社内の事務期限なのか、どうしてもその日でなければならないのかは文面だけでは分かりません。
また、会社によっては、毎月本人が振り込む形、会社が一時的に立て替える形、復職後の給与から控除する形、退職時にまとめて精算する形があります。
どれが可能かは、就業規則、会社の運用、給与計算の締め日によって変わります。
ここは断定で進めず、会社に「どの方法での精算を想定しているか」を聞く方が安全です。
傷病手当金の入金予定
休職中の社会保険料で一番ずれやすいのが、傷病手当金の入金日と会社への支払期限です。
傷病手当金は、申請してすぐその日に入るものではありません。
医師の証明、会社の記入、保険者での審査などを経て支給されるため、手元に入るまで時間がかかることがあります。
会社への支払い期限が先に来て、傷病手当金の入金が後になると、手元資金だけで払うのが難しくなります。
その場合は、傷病手当金の入金予定を前提に、支払い時期を相談する余地があります。
会社へ返事をする前に、請求額を次の項目へ分けて見ます。
- 何月分の請求か
- 健康保険料と厚生年金保険料の金額
- 住民税が含まれているか
- 支払期限がいつか
- 会社立替、本人振込、復職後控除、退職時精算のどれを想定しているか
- 傷病手当金の申請状況と入金予定
会社への分割相談と確認メール
一括で払えない場合でも、いきなり「払えません」とだけ送るのは避けた方がいいです。
会社に伝えるべきなのは、拒否ではなく、内訳を見たうえで支払い方を相談したいということです。
ここでは、使いやすい文面を3つに分けます。
まず内訳確認を依頼する文面
請求額の中身が分からない時は、先に内訳を出してもらいます。
この段階で、違法かどうか、払えるかどうかを言い切る必要はありません。
文面は、短くて十分です。
件名:休職中の社会保険料について
- ご連絡ありがとうございます。
- ご請求いただいた金額について、対象月と内訳を確認させてください。
- 健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、住民税が含まれる場合は、それぞれの金額を教えていただけますでしょうか。
- あわせて、支払期限と精算方法についても確認させてください。
ポイントは、相手を責める言葉を入れないことです。
「請求がおかしいです」ではなく、「対象月と内訳を確認させてください」と書く方が、後のやり取りが進みやすくなります。
分割払いを相談する文面
内訳を見ても一括で払えない場合は、分割払いを相談します。
この時に大事なのは、「払えない」だけで止めないことです。
毎月いくらなら支払えるのか、いつからなら払えるのかを、無理のない範囲で書きます。
件名:休職中の社会保険料の支払い方法について
- ご請求額と内訳を確認いたしました。
- 現在、休職により給与の支給がないため、一括での支払いが難しい状況です。
- 可能であれば、〇月から毎月〇円ずつの分割でお支払いする形をご相談できないでしょうか。
- 会社側で可能な精算方法があれば、あわせてご教示いただけますと幸いです。
金額を入れる時は、生活費を削りすぎない範囲にします。
家賃、医療費、食費を崩してまで無理な金額を書くと、あとから続きません。
傷病手当金の入金後に払いたい時の文面
傷病手当金の申請中で、入金後なら支払える場合もあります。
その時は、傷病手当金を理由に支払いを拒否するのではなく、入金見込みと支払時期を合わせて相談します。
件名:社会保険料の支払時期についてのご相談
- 現在、傷病手当金を申請中です。
- 入金時期が確定次第、社会保険料の支払いに充てたいと考えております。
- つきましては、傷病手当金の入金後にお支払いする形、または分割での支払いについてご相談できないでしょうか。
- 会社側で必要な手続きや期限があれば、事前に教えていただけますと助かります。
この文面では、「傷病手当金から勝手に引いてください」とは書きません。
傷病手当金の振込先や会社との相殺の扱いは、保険者の様式や会社の運用、本人同意の有無によって確認が必要です。
会社に送る文面では、強い言葉よりも、あとから読み返して意味が残る言葉を選びます。
- 「払えません」だけで終わらせない
- 「違法ですよね」と決めつけない
- 「退職するので払いません」と書かない
- 対象月、内訳、支払期限を先に聞く
- 分割、猶予、傷病手当金入金後の支払いを相談として出す
傷病手当金と社会保険料の注意点
休職中のお金を考える時、傷病手当金は大きな支えになります。
ただ、傷病手当金があるから社会保険料の問題が自動で解決するわけではありません。
傷病手当金、社会保険料、会社への支払いは、それぞれ動くタイミングが違います。
自動で天引きされるとは限らない
傷病手当金は給与ではありません。
そのため、毎月の給与から社会保険料が天引きされる時と同じように、自動で会社に差し引かれるとは考えない方がいいです。
協会けんぽや健康保険組合など、加入している保険者によって申請書の様式や振込先の扱いを確認する必要があります。
本人名義の口座や公金受取口座を使う形など、申請書の扱いが変わることもあります。
会社から「傷病手当金から差し引きます」と言われた場合でも、どの書類、どの同意、どの金額で扱うのかは見ておきたい部分です。
会社の立替や相殺は確認が必要
会社が社会保険料の本人負担分を立て替えている場合、後で本人から回収する流れになることがあります。
ただし、立替分をどのように精算するかは、会社の就業規則や給与計算の扱いによって変わります。
復職後の給与から控除するのか、毎月振込にするのか、退職時にまとめるのか。
ここを曖昧にしたままだと、復職後や退職時に大きな金額として出てきます。
「会社が立て替えている金額」と「自分がいつ払う金額」を分けて聞くことが大切です。
入金までの空白期間を見ておく
傷病手当金は、申請から支給までに時間がかかることがあります。
その間にも、会社から社会保険料の支払いを求められることがあります。
この空白期間を見落とすと、口座残高だけで一括払いを考えてしまいます。
社会保険料の支払期限、傷病手当金の申請日、支給決定通知、振込予定日を並べると、会社に相談する理由が具体的になります。
「今は払えない」より、「傷病手当金の入金後であれば支払い可能です」の方が、会社側も処理方法を考えやすくなります。
退職になった時の未払い精算
休職が長くなると、復職できるかどうかだけでなく、休職満了や退職時の精算も気になってきます。
ここで大事なのは、退職すれば社会保険料の請求が消えるわけではない、という点です。
在籍中に発生した本人負担分は、退職時に精算される可能性があります。
最終給与や退職金との精算
退職時には、最終給与、退職金、有給分の給与などがある場合に、未払い分の社会保険料と精算されることがあります。
月末退職か月途中退職かによって、社会保険料の対象月の見え方も変わります。
退職日の翌日が資格喪失日になるため、どの月まで保険料がかかるかは、退職日によって確認が必要です。
会社から退職の話が出ている場合は、退職日だけでなく、未払いの社会保険料がどの給与で精算されるのかも聞いておいた方がいいです。
ここを見ないまま退職日だけ決めると、最後の給与が思ったより少なくなることがあります。
退職後の国保と国民年金
退職すると、会社の健康保険や厚生年金から外れます。
その後は、国民健康保険、任意継続、家族の扶養、国民年金などを選ぶ場面が出ます。
退職後の国民健康保険料や国民年金保険料は、休職中に会社から請求されている社会保険料とは別の話です。
ただ、支払いの時期は近くなることがあります。
在職中の未払い分、退職後の国保、国民年金、住民税が同じ時期に重なると、手元資金が一気に減ります。
住民税の請求も別で残る
退職後や休職中に見落としやすいのが住民税です。
住民税は、前年の所得をもとに課税されるため、今の給与が止まっていても納付が残ることがあります。
会社の給与天引きが止まると、自治体から納付書が届くこともあります。
社会保険料と住民税は別物ですが、家計から見ればどちらも支払いです。
だから、会社からの請求を見た時は、社会保険料だけでなく、住民税の納付書が来ていないかも合わせて見ておきます。
払えない時ほど金額と期限を分ける
休職中に社会保険料が払えない時、必要なのは大きな決断ではありません。
会社を無視することでも、すぐに争うことでもありません。
払えない時に必要なのは、会社を無視することでも、すぐ戦うことでもなく、金額と期限を分けて、生活が崩れない支払い方を相談することです。
無視ではなく確認と相談にする
会社からの請求に返せないまま時間がたつと、未払い分だけが積み上がります。
一方で、内訳を見ないまま無理に払うと、家賃、通院費、食費などが崩れることがあります。
だから、返事の入口は「払います」「払えません」の二択にしなくていいです。
対象月、内訳、支払期限、精算方法を見たうえで、分割や猶予を相談する形にします。
生活費まで崩さない支払い方
社会保険料は大事な支払いです。
ただ、生活費をすべて削ってまで一括で払うと、その後の休職生活が続かなくなることがあります。
特に、傷病手当金の入金前、住民税の納付書が届く時期、退職時精算が近い時期は、支払いが重なります。
手元に置くべき金額まで崩してしまうと、次の月にまた別の支払いで詰まります。
会社に相談する時は、「一括では難しい」だけではなく、「いつから、いくらなら払えるか」まで出せると、話が進みやすくなります。
会社の請求を一つずつほどく
会社から来た請求額は、一つの数字に見えます。
でも、その中には、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、住民税、会社立替分、対象月、支払期限が重なっていることがあります。
一つの数字として見ると、ただ重いだけです。
分けて見ると、会社に聞くこと、待ってもらうこと、自分で払う時期が見えてきます。
休職中の社会保険料が払えない時は、払えない自分を責める前に、請求を一つずつほどいてください。
そこから、会社に返す言葉も、支払い方も変わります。








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